バブル期の地価の高騰により住民が区外に移転し、約34000人まで人口が減少し空洞化した千代田区。
しかしその後、住宅付置義務を伴う容積率緩和を初めとして、さまざまな都心居住施策により25年で倍の約67000人まで人口は増加した。
特にお屋敷街で一戸あたりの平均敷地面積が広かった番町地区では、個別の建替えにより独立住宅が(一部は事務所用途も経由しながら)中高層・高容積の集合住宅集積地へと変容。
これにより庭の緑といった非建蔽面積は大幅に減少してしまった。
その変化に伴って、住民が共用できる外部空間はどのように形成されどのように変化したのか?また住民はそれをどのように評価しているのか?というのがわたしの修士研究テーマ。
研究過程の住民の方々へのヒアリングで一致しているのは、良い住環境を保ち、価値(資産価値)が向上するまちであって欲しいということ。
同時に緑のネットワークが住環境を向上させるのではないかということ。
しかしながら、周囲と連携しない、建物単独の建替え更新では、周囲との空間的な繋がりは失われ、結果として人と人との繋がりも希薄化したまちが出来上がってしまう。
どんなまちにしていきたいか、どんなまちにしていくのが良いのか?
デザインや景観も含めたモデル、まちの像(イメージ)を柔軟に描いていくことが、今こそ必要なのではないかと強く思っています。
そしていったん決まった制度によって、事前確定的、硬直的にまちづくりが進行してしまうことなく、時代と共に柔軟な運用、見直しがなされることこそ、持続可能なまちづくりにとってたいせつなポイントになるのではないかと思うのです。
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